【スイス取材紀行】スイスの鉄道ラゲージサービスの使いどころ

2017年7月21日

スイスで鉄道を利用する際、大きなスーツケース等を別に目的地まで送ってくれる「ラゲージサービス」というサービスがあるんですが、今回実際にスイス国内での移動にエクスプレス・ラゲージサービスというのを使ってみましたので、以下のその詳細記事です。

そもそもラゲージサービスってなに?

スイスは鉄道網がとても発達していて大変便利なのですが、都市間の移動では乗り換えを何回か余儀なくされる事があります。そういった乗り換えの際に自分で大きな荷物を持ち運ばなくてもいいよう、出発地の駅(またはホテル)から目的地の駅(またはホテル)まで荷物を別送してくれるシステムが「ラゲージサービス」です。飛行機の預け入れ荷物の鉄道版みたいなサービスですね。もちろん国鉄→私鉄の乗り換えでも問題なく送ってくれるので、さすが鉄道大国です。

で、このサービスにはいくつか種類かありまして

  • ラゲージサービス
    駅⇔駅の通常便。
    当日19:00までに出発駅で預けた荷物は翌々日の9:00以降に目的地駅で受け取り可能。
    荷物1個につきCHF12
  • エクスプレス・ラゲージサービス
    駅⇔駅の特急便。
    当日9:00までに出発駅で預けた荷物が当日の18:00以降に目的地駅で受け取り可能。
    荷物1個につきCHF12+1回の特急発送にCHF30(つまりまとめて預ければお得に)
  • ドア・ツー・ドア ラゲージ
    ホテル⇔ホテルの通常便
    出発地ホテルで集荷した荷物は翌日に目的地ホテルへ配送。集荷・配送の時間帯は午前7〜12時、午後12〜18時、夜間18〜23時か選択。
    ※WEBか駅窓口で事前申し込みが必要
    荷物1個につきCHF12+1回の集荷手数料にCHF40(つまりまとめて預ければお得に)
  • エクスプレス・ドア・ツー・ドア・ラゲージ
    ホテル⇔ホテルの特急便
    午前7〜12時に集荷した荷物は同日の夜18〜23時の間に受け取り可能
    ※WBBか駅窓口での事前申し込みを集荷の2日前の20時までに行う必要がある。
    荷物1個につきCHF12+1回の集荷手数料にCHF40+1回の特急発送にCHF30(つまりまとめて預ければお得に)

どういった場合にサービスを使うと便利?

今回の取材旅行では乗り換えが多く発生する移動が、大きく分けて2回ほどあったのですが、以下のルートで

  • ①チューリッヒ空港→グリンデルワルド(途中下車:ルツェルン 乗換:インターラーケンオスト)
    エクスプレス・ラゲージサービス
  • ②グリンデルワルド→ツェルマット(途中下車:シュピーツ 乗換:フィスプ)
    →自分で運ぶ

という風に使わい分けてみました。

まず今回の取材旅行では天気を見てその日の行動を決めるというスタイルで、当日の朝にならないとその日の細かなスケジュールが決まらないという感じでした。ということで事前申込が必要なドアツードア系に関してはとりあえず無しとなりました。

そこで海外旅行用の大きなスーツケースを乗換の度に自分であっちこっち運ぶのは実際結構大変になると予想出来たので、途中下車を楽しんだり乗換が多めにある日はラゲージサービスを利用しようと考えました。

では何故上記①ではエクスプレス・ラゲージを頼んで②で頼まなかったかといいますと、大きく分けて2つの理由があります。

まず1つめの理由が①ではルツェルンから乗り換えるゴールデンパスラインは時刻指定のある指定列車に乗らないといけない座席予約切符だったので、ルツェルンでの滞在時間に制限があり、コインロッカー等を探す時間が惜しくなる事が予想される。一方②のシュピーツでは特に次の便の時間を決めておらず、ゆっくりと途中下車観光をする予定だったのでコインロッカーや有人の荷物預かり所を探す余裕があるだろうと予測出来たからです。

そして2つ目の理由が、①の目的地グリンデルワルドのホテルは駅のすぐ近くだったんですが、②の目的地ツェルマットでは駅から少し離れたホテルをとった、というと事です。

ラゲージサービスではエクスプレスでも当日朝9:00までの申し込みで原則18:00以降にしか目的地駅で受け取れません。ホテルと駅が離れている場合、目的地駅に着く時間がちょうど荷物の届いてる時間であれば、窓口で荷物を受け取ってそのままホテルに向かうだけです。一方、荷物受け取りの時間が合わず、先にホテルに向かった場合、荷物を取りにまた駅に戻らなくてはいけなくなります。駅に荷物を取りに行く時間が遅くなってしまうと、駅の窓口は意外と早く閉まってしまいますので、その日荷物が受け取れなくなる、という大変困った事態にもなってしまうのです。

以上の事からラゲージサービスを使うにはホテルと駅のアクセスが良いという事がまず第一の条件になるのではないかと思います。

ホテルと駅の距離が遠いと普通のラッゲージサービスはちょっと不便…

実際僕が①の日程で使用した際、荷物は18:45にしか目的地のグリンデルワルド駅に届かないが、グリンデルワルド駅の荷物窓口は19:00で閉まってしまので注意するようにと、チューリッヒ空港駅の係員に注意を受けたぐらいシビアでした。

ホテルと駅の距離が離れている人でラゲージサービスを使いたい場合は事前申し込みが必要ですが、ドアツードアのほうを使ったほうが良いかと思います。

実際に使うのと使わないのどっちが便利だった?!

上記①の日程でエクスプレス・ラゲージサービスを実際利用した感想としては、お金を払っている分やはり大変便利でした。ルツェルンでの観光も駅で降りたらすぐに始められましたし、乗換も身軽なままサクっと出来て便利でした。やはり重いスーツケースから解放されるというのはそれだけでとてもストレスフリーです。

②の日程では、シュピーツででの途中下車観光自体は一度荷物を駅の預り所に預けてしまえば手ぶらなので何も問題はないのですが、駅構内での移動や、乗換時の移動が特に面倒でした。特に乗換の必要があったシュピーツやフィスプといった駅は、ルツェルン駅のようにホームの移動が同じフロアできる便利な駅とは違い、日本の駅のように別のホームに移動するために一度地下通路階等に降りる必要があったので、面倒さに拍車をかけていたと思います。(逆に言うとルツェルン駅のように同じフロアでさくっと乗り換えができる駅では、そこまで荷物は邪魔にならないと思います)

ホームの移動も同じ階で可能なら荷物があっても多少は楽だけど…

ただ、②の日程のツェルマットのホテルは駅と少し離れており、ホテルが駅との送迎サービスを用意しているぐらいの距離です。この距離を荷物のために駅に戻って、また荷物を持ってホテルに戻るのかと思うと、やはり②の日程ではラゲージサービスを使わなかった事自体は正解かと思っています。

結局は自分のプランに合わせて使い分けるのが賢い使いかたという所でしょうか。

ラゲージサービス実際の流れはこんな感じ

以上のように僕はエクスプレス・ラゲージサービスを1回だけ利用してみたのですが、実際の流れはこんな感じでした。

  1. チューリッヒ空港駅のSBB窓口に行く→
    ※空港から出て道路を渡って向かいの建物に入り、メインエスカレーターを降りたB1Fの右奥にあります。
    普通の切符窓口と同じ窓口で、ラゲージサービス専用窓口はないので普通に列にならびましょう
    ↑訂正です。切符窓口の横にラゲージサービスの窓口があるそうです。コメント欄よりご指摘頂きました。
    もしかしたら僕が行った日だけ何かの理由でラゲージサービス用の窓口が閉鎖していて切符窓口で同時に受け付けていたのかもしれません。
    ※電車の中で使いたい荷物はスーツケースから取り出しておくなど、預ける荷物・携行する荷物の再整理を事前にしておく事をオススメします。
  2. 申込~支払い~荷物の預け入れを済ませる→
    ※窓口での支払いはクレジットカードOKでした。
    ※チューリッヒ空港駅の窓口は人が多く並んでいて少し時間がかかったので、余裕をもって行くと良いと思います。
  3. 手ぶらでチューリッヒ空港駅から乗車→
    ※チューリッヒ空港の列車ホームはB2Fなので、窓口階からもう1階下に降ります。
  4. ルツェルン駅で途中下車して観光~観光後ルツェルン駅でゴールデンパスラインに乗換→
  5. インターラーケンオスト駅で乗換→
  6. グリンデルワルド駅着~ホテルチェックイン→
  7. 指定時間にグリンデルワルド駅に荷物を取りにいく。
    ※グリンデルワルド駅での荷物の受け取りは、切符窓口の向かって左側にラゲージサービス専用の窓口がありますので、そこで受け取りが可能でした。

事前申し込みが必要なドアツードア系はもう少し申し込みに手間があるかもしれませんが、窓口で当日にサクッと申し込める通常のラゲージサービスはとても簡単に利用できますので、ご自分のプランに合わせて柔軟に活用すればとても快適な旅になると思います!

川田 ヒデホ

金沢市在住のイラストレーター。仕事のお話や、取材先での出来事、あまり仕事に関係ないけど個人的に気になった出来事、など色々書いています。 お仕事の事やブログの内容などで気になった事があればブログのコメント欄や、スタジオトップのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

コメント

4 Comments

  1. Kuw

    早速の訂正、情報提供して良かったです。
    私はチューリッヒ空港駅からルガーノ駅まで送りました。
    駅によって取り扱いが違うようで専門の窓口があったりルガーノの駅では切符売場の窓口の横にあるインターフォンで受け取りとかまちまちですね。インターフォンでは言葉が通じずカメラに向けて伝票を見せて対応してもらいました。でもスイスの国鉄の方達は嫌々ではなく笑顔で対応してくれるのがいいですね。

    • HK

      なるほど。駅の構造等も駅ごとに全然違いますしラゲージサービスの窓口もまちまちなんね。インターフォンごしだと言葉が通じないと僕の場合かなりあせってしまいそうです(笑)。切り抜け方がさすがです。スイスは国鉄の職員の方をはじめ、お土産やのおばちゃんまで本当に笑顔が素敵な方が多くて、また行きたくなりますね!僕の訪れた国の中ではスイスが笑顔率No.1です!

  2. Kuw

    スイス国鉄のラゲージサービスの記事、大変参考になりました。

    情報としてお知らせしたいのですがチューリッヒ空港では切符売場の窓口にて受付になってますが窓口の右横にラゲージサービスの窓口があります。

    • HK

      コメントどうもありがとうございます。微力ならがお役に立てましたようでよかったです。またご指摘もどうもありがとうございます。記事のほう加筆修正させて頂きました。大変助かります。


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