【スイス取材紀行】スイスで僕が1等車両を選択した理由

2017年7月18日

今回のスイスの鉄道を使った旅で、やはり少し悩んだのが列車のクラスは1等車にするか2等車にするか。結果的に僕は選べる車両では全部1等を選んだのですが、その理由がこんな感じです。

そもそも1等と2等の違いってどんなとこ?

まず1等座席と2等座席の違いはどこにあるかというと

  • シートの違い(ピッチ、幅、材質、設備等)
  • 混雑具や静かさ等車両内の環境

の2点が主な違いとしてあげられるかと思います。
ただ上記の違いについては、運行する鉄道会社、乗車する車種などによってだいぶ開きがあると思いますので、場合によっては1等と2等の価格差の価値は限りなく小さくなってしまいます。

以下1等車と2等車の違いを少し細かくみています

シートの違いについて

シートピッチ、シート幅はもちろん1等のほうが広く、シート材質のクッション性が高いのも当然1等となります、1等車は基本の座席並びが通路をはさんで2席-1席のボックス席で、2等車は2席-2席のボックス席です。なのでどうしても2等車のほうが座席に窮屈感は出てきます。でも2等車が耐えられないほどの狭さかと言われればそんな事もありませんので、短い乗車時間であれば1等と2等座席の快適度の差はあまり大きくない、というのが実際のところかと思います。1等でも日本の特急や新幹線のようなシートリクライニングがない車両がほとんどです。

1等車は向かい席とのシートピッチが広いので、多くの荷物を持ち歩く人にとっては荷物スペースが確保しやすいという事もあるかと思います。列車によってはデッキ箇所に荷物スペースを設けている事もありますので、そういう列車の場合は2等車でも特に荷物に困ることはないと思います。

またシート設備についてですが1等であれあばコンセントプラグ(B/C型:日本のコンセントは変換プラグ等が必要)がついている場合があります。ただ、こちらも1等なら必ずついているというわけではなく、運行会社や運航車両によって変わります。

混雑具合や静かさ等の車内環境の差について

実はこの車内の混雑具合を始めとした車内環境の差が1等と2等とで一番大きかったりします。

まず1等車のほうが3~4割ほど2等車よりチケット価格が高くなる事が多いので、やはり2等車は人でいっぱいで、1等車はガラガラという事がほとんどです。

実際今回の取材でもゴールデンパスラインなんかでは2等車はプラットホームで行列ができ、車内も人でいっぱい。一方、1等車は人がまばらですごく静かという状況でした。(ユングフラウ鉄道のように1等車でも人で込み合うという稀な列車もあります)

2等車では、例えば右側の方が景色が良いので右側に座りたい、など座席の希望がある場合は列車がホームに入ってきたら早めに列車に入って席をとってしまわないと希望の座席に座れない事があります。ただ、座る座席がないというほど混在している事は2等車でも稀だと思いますので、別の車両に移動して探せば、座席自体は確保できると思います。例えば2人並びの座席は空いてないけど、2人で座りたいという人は他の人と交渉して座席を交換してもらったりと融通してもらう感じかと思います。(実際2等車ではそうしている人が多かったですし、僕らも2等車では座席交換してもらって並び席で座ったりしました。)

上記の混雑具合にともなう当然の影響ですが、車内の静かさも1等車のほうが静かな雰囲気となっています。2等車はツアー客が乗ってくる事も多く、人で賑わっていますので、どうしてもガヤガヤとした雰囲気になってしまします。

また、静かさという点では特筆する点として、国鉄のIC等で1等車の中にクワイエットゾーンというエリアが設けられた車両があります。この車両は静かさをかなり求められる車両で、おしゃべりや電話等はもちろん禁止で、音漏れを考慮してイヤホン使ったとしても音楽プレイヤーの使用も禁止という大変厳しい車両となっています。実際写真をパシャパシャ撮っている人が、他の乗客から「シーッツ!」とたしなめられる場面もありました。静かにゆっくり乗りたい人にとてもオススメする車両です。一方賑やかにに乗りたい人には全くオススメできない車両となります。

他の車内環境としまして、1等車両では窓がハメ殺しで開けらない事が多く、2等車両では窓の開閉は自由という事が多いようです。人によっては窓を開けて写真を撮りたい、外の風を感じたいという事もあるでしょうから、そんな場合は2等のほうが”いい設備”という事になるのかもしれません。ただこちらも鉄道によって変わります。べルナーオーバーランド鉄道なんかでは1等車でも窓を開けることが出来ました。

鉄道によっては1等車でも窓が開けられる車両も

それでも僕が1等車両を選択した理由

さて本題ですが、僕は今回1等が選べる車両では全て1等にしました。それは以下の様な理由からでした

  • 同行数が少し多め(全員で4人)
  • その内の1人は妊婦
  • 何回も乗り換えて1日中電車に乗って移動する長時間乗車の日がある

まず妊婦がいるので出来る限り席を探して歩き回らなくても済むようにしたいという事と、可能であればグループで近くに座りたかったというのが大きな理由でした。また今回のスイス取材では全体的な日程も比較的長く、乗車時間が長い日ではなるべくゆっくりと車内で休養を取りたいというのも一つの理由でした。

実際、ユングフラウ鉄道のような極端な例外を除けば、1等車両では席を探す必要はなく、すぐにグループ分の座席が確保でき、場合によっては2人で4人がけを使う、1人で2人がけを使うという贅沢な使い方もできました。そして、やはりなんだかんだ言って疲れの面からも1等車両の座席の広さに助けられた感があります。

ということで結果的に言えば今回の旅のスタイルでは、この選択は正解だったと感じています。

ただ、僕は僕の選択に満足していますが、つきつめれば旅というものはその人のスタイルによってオススメが変わってしまいます。デメリットは人によってはメリットになったりします。
静かに車窓を楽しみたい人にとってはガヤガヤした車内の雰囲気はデメリットですし、逆に仲間とわいわい楽しんだり、見ず知らずの人と一期一会の会話を楽しみたい人なんかクワイエットゾーン車両はデメリットでしかありません。

体力のある人が一人旅でいろんな交流を楽しみながら交通費をセーブして旅行したいとなれば、断然オススメは2等車ですし、逆に一人旅でも相席は苦手だし一人でゆっくりと車窓を静かに楽しみたい、なんて人は1等のクワイエット車両がオススメという事になります。

月並みな結論ですが自分のスタイルにあったものを選択が出来たら一番いいですね。

川田 ヒデホ

金沢市在住のイラストレーター。仕事のお話や、取材先での出来事、あまり仕事に関係ないけど個人的に気になった出来事、など色々書いています。 お仕事の事やブログの内容などで気になった事があればブログのコメント欄や、スタジオトップのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

コメント

コメントはまだありません


コメントを書く

*必須項目(メールアドレスは公開されません)

コメントは管理者の承認後表示されます