[イラストで描く世界史人物伝] Vol.3 ネブカドネザル2世

2020年8月25日

著者の気になる歴史上の人物を勝手に描いていく「イラストで描く世界史人物伝」第3回の今回は、旧約聖書などでも有名な古代メソポタミアの王国、新バビロニアの王、ネブカドネザル2世です。

新バビロニア王国栄華の象徴

ネブカドネザル(ネブカドネツァル)という名前は旧約聖書を読んだことのある人なら目にした事があるだろう。また旧約聖書を読んだことのない人でも「バビロニア」であったり「バビロンの空中庭園」「バベルの塔」「バビロン捕囚」など、バビロンに関連する言葉は聞いたことがあるのではないだろうか。

このネブカドネザル2世というのは、そのバビロンを中心都市として栄えた国「バビロニア」の王として君臨した人物だ。

国としてのバビロニアは、紀元前18000年頃にアムル人が打ち立てたバビロン第一王朝が始まりだが、その後様々な民族、王朝(王統)によってバビロニアの中身は変わっていく。途中アッシリア帝国の支配を受け荒廃するが、紀元前600年頃にアッシリア帝国の支配から独立してカルデア人によって新たに打ち立てられたのが、このネブカドネザル2世が2代目の王として君臨する新バビロニア王国だ。(独立を主導した彼の父、初代王ナボポラッサル自体はカルデア人ではないという説もある)

彼の治世にバビロニアは独立した国としてもっとも栄華を極める事になる。

ちなみに初代のバビロニアであるバビロン第一王朝の王は、かの”目には目を”のハンムラブ法典で有名なハンムラビ王である。

 

 

以上が、ネブカドネザルを語る時には抜いては語れない「バビロニア」のちょっとややこしい概要である。

 

ネブカドネザルの治世と功績

ネブカドネザルは、その在位中に特に有名なのが、お隣のユダ王国(紀元前930年頃にイスラエル王国から分裂)を滅ぼし多数のユダヤ人をバビロンに強制移住させた「バビロン捕囚」であろう。

このユダ王国を滅ぼす際に、ユダ王国の中心都市エルサレムの神殿や偶像などは徹底的に破壊され、ユダヤ人は信仰の対象を失ってしまう。そのため信仰を神殿や偶像に求めない、ヤハウェイを唯一神とする現在のユダヤ教を強制移住させられた土地、バビロニアにて確立させる事になる。ユダヤ教は後にキリスト教やイスラム教に発展していった事を考えると、実はこのネブカドネザル2世という男は、偶発的にではあるが世界5大宗教の内の3つを生み出すきっかけを作った男でもあるのだ。

また彼を有名にしているものはもう一つあり、それが建築事業である。

先に述べた通り、バビロニアの首都バビロンは一時期アッシリア帝国の支配を受け荒廃してしまっていた。この荒廃を復活させようと父である先代ナボポラッサル王から行われたいた事業を継承し、マルドゥック神殿を修復拡張、王宮を建設。さらにバビロンの側を流れるユーフラテス川に橋をかけ、バビロン市街を両岸に拡張し、都市を三重の城壁で囲み強固な要塞都市に作り上げた。また復元やレプリカでも有名な青の陶器で覆われたイシュタル門の建造なども有名である。なお確定的な資料があるわけではなく、あくまでも伝説上の存在とも言われるが、バビロンの空中庭園やバベルの塔も彼が建造し、当時のバビロンに実在したのではないかという説も根強い。

晩年は一説によれば猜疑心が強くなり、自分の息子や娘を疑って生きる毎日であったとも言う。古代の人物にしては比較的長生きしており、71歳か72歳にて生涯を閉じた。その後新バビロニアは何代か王が続いたが情勢は不安定になり急速に衰退。お隣ペルシアのアケメネス朝に支配される事となってしまう。これ以降バビロニアが独立した国として栄えることは無かった。

今回はこの様な彼の姿を、建築事業の指揮をとる姿のイメージで描いてみた。

 

 

川田 ヒデホ

金沢市在住のイラストレーター。仕事のお話や、取材先での出来事、あまり仕事に関係ないけど個人的に気になった出来事、など色々書いています。 お仕事の事やブログの内容などで気になった事があればブログのコメント欄や、スタジオトップのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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